耳障りな低音がかすかに響いている。
サンジは後ろ手に拘束され、顔を床につけた姿勢で四つん這いになっていた。エネルに巻かれた黒い首輪と、ぼろぼろの包帯のほかに彼の体を覆うものはない。しかも足を閉じられないよう、両膝の裏に細いパイプ状の雲がくくりつけられている。そのため、普段人目に触れない箇所が、エネルの前に無防備に曝されてしまっていた。
「くぅ……っ」
押し殺したうめきがサンジの口から漏れる。
よく見れば、サンジの腰から下はぶるぶると小刻みに震えていた。
まるで、断続的に聞こえる低音にあわせるかのように。
エネルが、サンジの髪をつかんで顔を上向けた。
「まだ理性があるのか。驚いたな。」
そのまま頭を持ち上げられ、髪が引っ張られる痛みに思わず膝立ちになりかけた瞬間、サンジは声を上げていた。
「うぁう!」
「ははっ、いい反応だ。もっと啼け、ほらどうだ?」
エネルが何かしたようには見えなかったが、どうだ、と言い終わらぬうちにサンジの体がのけぞった。断続的に聞こえていた低音は、今やブゥゥゥゥンというはっきりとした音になっている。
「んんっ……んああ!やっ……あ、ああ……ッ」
鋭角に屹立した彼自身の先端から、透明な液が糸を引いてとめどなく床に滴っていた。だがその根元には首輪に似たベルトが巻かれている。
快感でペニスがふくれればふくれるほどきつく食い込む残酷な輪は、想像を絶する激痛をサンジに与えているはずだった。
「つらそうだな。楽になりたいか?私に従属を誓えばすぐにその輪をほどいてやるぞ。」
自分が科した責め苦を、まるで他人事のようにエネルが言った。徹底的に痛めつけられた者が、わずかな優しさを目の前にぶらさげられただけで、拷問者に心からの忠誠心を抱くようになることを、エネルは知っている。
古来から“神”はそのやり方で人心を掌握してきたのだから。
「舐めろ。」
衣服を分けてエネルは自身の男根をサンジの口元につきつけた。
口に含めば、この快感と苦痛が一体化した地獄から逃れられる。
それがわかっていて尚、サンジは顔をそらした。素直にくわえるような性格なら、海賊になどならない。“神”に挑んだりはしない。
「やれやれ。強情すぎるのもかわいくないぞ。」
「……ッ!くああぁぁ!うぁ、ああッ」
振動するダイヤルが、サンジを犯している。
微細な振動から貝自体が激しく動くような揺れまでを、エネルは電圧によって自在に操っている。細長い丸みを帯びた巻貝の形をしたダイヤルは、震えるたびに一番敏感な神経をごりごりと圧迫し、苦痛に近い快楽をサンジに送り込んでいた。
そして今、容赦のないたたきつけるような動きで前立腺を刺激している。
「ふ、あぁ……ッ」
ドクン、と赤く腫れたペニスの先から白い液体が押し出された。
迸りでるはずの精液は、根元でせき止められて少しづつ、少しづつこぼれだす。
永遠に続くかのような射精感はむしろ痛みに近い。
エネルはつかんでいた金髪を離し、床に崩れおちる体を蹴転がした。ペニスはひくひくと震えながら、まだ精液を吐き出し続けている。半開きの口元からはよだれが流れ、青い目は宙をさまよっているが……まだ意志の光がある。
絶対に屈しないという“声”がエネルの耳にはっきりと聞こえてきた。